2026/6/23
ロングセラーを生み出し、維持し続ける秘訣とは何だろうか。
まず欠かせないのは、その商品を「永く続ける」という強い覚悟、つまり腹決めをすることだ。
一般的な製品ライフサイクルにおいて、衰退期を迎えた商品には投資がされにくくなる。人の手間もかけられなくなり、やがて静かに終焉を迎える。商品をロングセラーへと昇華させたければ、衰退の兆しが見えたとき――いや、理想を言えば衰退が始まる前に――あえて手を入れ、再び命を吹き込む「継続への意志」が前提となる。
しかし、ただ同じことを繰り返すだけでは、市場の需要は枯れていく。
永く続けていれば既視感(マンネリ)が生まれ、新たな打ち手は減っていくものだ。そこで立ち戻るべきは、やはり「お客様」である。
お客様がその商品をどのように利用し、どのような生活を送っているのか。お客様は移り気で、自らの本音を言葉にしてくれるとは限らない。それどころか、自分自身の心の奥底にある欲求(インサイト)に、本人さえ気づいていないことも多い。それを丁寧な観察と深い洞察によって理解し、言語化していくことが、次なる対策のヒントとなる。
大切なのは、「一貫性」を保ちながら「新しい気づき」を与え続けることだ。
変化が必要だからといって、何でもやればいいというわけではない。ブランドとしての軸がブレれば、顧客は離れていく。
私は、この一貫性の源泉は「コンセプトとの照合」にあると考えている。
単なるテクニックの問題ではない。自分たちは何にこだわり、何を守り抜くのか。その根源的な問いがなければ、いかなる対策もその場しのぎの点に終わり、線にはならない。
一貫性という一本の芯を保ちながら、時代に合わせた変化を積み重ねていく。
そのとき、努力は単なる足し算ではなく「掛け算」へと変わり、やがて市場から大きな反響となって返ってくるのだ。
(文/山田郁二)