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DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、一体何を指すのだろうか。単なるIT化や効率化ではない。その本質を、カメラのキタムラの事例から紐解いてみたい。

中古カメラの市場は今、非常に人気が高い。しかし、中古品には新品と決定的に違う点がある。それは「査定」という高い壁だ。かつて、査定には熟練の目利きが必要で、対応できる人間は限られていた。

そこで彼らが導入したのは、AIによる画像査定だった。属人的な技術をデータ化することで、誰でも精度の高い査定ができる仕組みを構築したのだ。

また、同社が展開する「スタジオマリオ」の事例も興味深い。

記念撮影に欠かせない衣装の在庫管理。かつては、人気の衣装と店舗の在庫がうまく噛み合っていなかった。そこで、AIによる画像解析で「どの衣装がどれだけ使われているか」を徹底してデータ化した。

その結果、不要な在庫を3分の1も削減することに成功し、同時に顧客のニーズに即した品揃えを実現した。何より大きいのは、撮影スタッフが管理業務から解放され、本来の仕事である「撮影」に集中できるようになったことだろう。

データ化は、あくまで顧客サービスを向上させるための手段に過ぎない。

これまで埋もれていたアナログな情報をデータに変え、膨大な解析を経て判断に活用する。それによって現場の負担を減らし、仕事の質を高めていく。

これこそが、虚飾のない「地に足がついたDX」と呼べるものではないだろうか。

(文/山田郁二)