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ホスピタリティとは、一体どこに宿るのだろうか。

ディズニーファンの妻への「日頃の罪滅ぼし」として、年に一度、二泊三日で東京ディズニーリゾートを訪れるのが、私たち夫婦の恒例行事となっている。今回は妻の希望もあり、まだ宿泊したことのなかった「トイ・ストーリーホテル」を二日目の宿に選んだ。

一歩足を踏み入れれば、そこは映画の世界そのもの。おもちゃの視点に迷い込んだような徹底した作り込みに圧倒される。

旅の終わり、帰路につく日の朝のことだ。ロビーで記念撮影を済ませた私たちは、ホテルの前にあるキャラクターたちの大きなモニュメントが並ぶ広場でも、写真を撮ろうという話になった。

すると、驚いたことがあった。

ホテルのキャストの方が、私の気づかないところで、そっと私たちの後ろをついてきてくれていたのだ。

「お写真をお撮りしましょうか」

予想外のタイミングでかけられたその声に、心がふわっと温かくなるのを感じた。

記念写真を撮ってもらう。それ自体は、観光地では珍しくない光景かもしれない。しかし、ゲストが「頼もう」とする一歩手前で、その気配を察して寄り添っていてくれる。その些細な、けれど予期せぬ心遣いにこそ、真の温かさが宿るのだと思う。

こうしたさりげない行動の裏には、個人のホスピタリティもさることながら、スタッフ一人ひとりが常に周囲に目配りし、誰かが持ち場を離れても円滑に回る、優れたオペレーションが徹底されているのだろう。

整えられたハード(世界観)以上に、予期せぬ瞬間に届けられたソフト(心遣い)が、旅の最高の思い出になる。

それは、私たちが仕事を通じて誰かに喜びを届けようとする時、決して忘れてはならない大切な視点であった。

(文/山田郁二)